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【高校野球】大阪桐蔭3度目の春夏連覇のカギを握る男 歓喜の陰で進んでいたエース再生の物語 (2ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Shiro Tanigami

 迎えた熊本工業との初戦は川本が先発し、圧巻の完封でチームに勢いをもたらした。一方の吉岡は6回からブルペン入り。昨年秋以来の投球を見守ったが、ストレートもスライダーも抜け気味で、持ち味の柔らかさやフィニッシュも今ひとつ。捕手が捕りきれないボールもあり、万全とは言い難い状態だった。

 次戦も先発はないかもしれない──そんな見方がよぎる一方で、無理だけはしてほしくないという思いも強く残った。

 試合後、吉岡に話を聞くことができた。

「ブルペンでの投球は、6、7割の状態に見えたけど」と話を向けると、「いや、自分的にはとくに。昨日の練習よりいい感じでした」と返ってきたが、言葉に力強さは感じなかった。

 少し話を進めると、「少し前までは、自分が今日の先発予定だったんです」と明かした。だが、試合が近づくなかで川本の先発が決まったという。つづけて、「(次戦の)三重のほうが打線はいいという評判なので」と口にしたひと言には、エースとしてのプライドを感じたが、ふたりのコンディションや大会日程を踏まえた、総合的な判断だったのだろう。

「次の試合で投げるとしたら......」という仮定の話のなかで、どんなピッチングをイメージしているのかと問うと、「7、8割くらいでは投げられたら......」と口にした。好調時の7、8割という意味だろうが、やはりこの日のブルペンは6、7割にも満たない感覚だったのではないか。そう思うと、厳しい展開が予想された。

【不安の先に見えた復活の兆し】

 2回戦の三重戦。吉岡は先発のマウンドに上がったが、本来のボールにはほど遠く、2日前のブルペンでの投球がよみがえった。

 立ち上がりから制球が定まらず、初回は3四球が絡んで2失点。秋の金光大阪戦では150キロ近い球速を連発していたストレートも、この日は130キロ台後半が中心で、持ち味の球質も伝わってこなかった。

 一打許せば、試合の流れは大きく変わっていたかもしれないという場面もあったが、エースの意地で踏ん張り、4回1/3を2安打、7四球ながら、なんとか4失点でしのいだ。

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