【ドラフト】仲間はすでにNPBへ 残された男たちのラストチャンス、独立リーグの3人の物語 (4ページ目)
「憧れはもちろんあります。あとは今まで好きな野球をやらせてもらってきましたし、関わってくれたすべての人に恩返しがしたい。その思いでやってきました」
NPB球団からの調査書も届き始めている。上野の恩返しは成就するだろうか。
俊足巧打の栃木ゴールデンブレーブス・桃次郎 photo by Kikuchi Takahiro
【ヒットを打つだけが自分の仕事ではない】
上野と同様に俊足巧打タイプとして注目されるのが、栃木ゴールデンブレーブス(ルートインBCリーグ)の遠藤桃次郎(23歳/登録名・桃次郎)だ。
「アウトになるにしても、簡単に三振はしたくないんです。ゴロを打って、相手の守備にプレッシャーをかけたい。ただヒットを打つだけが自分の仕事ではないので、できるだけ相手の嫌がるプレーをしたいんです」
そのしぶといプレースタイルは、歩んできた経歴とシンクロしているように感じられてならない。
練習が厳しいことで知られる横浜瀬谷ボーイズ(神奈川)で中学時代を過ごし、高校は盛岡大付(岩手)へ。雪国にもかかわらず室内練習場はなく、雪が降りしきるなか雪上で練習に励んだ。
とはいえ、高校3年夏に背番号4をつけたものの、公式戦の出場はなかった。白鴎大でも3年までは出場機会に恵まれず、3年時の大学選手権ベスト4はスタンドで応援していた。1学年上には福島圭音(現・阪神育成)がおり、春の関甲新学生リーグ9試合で20盗塁という離れ業を見せていた。
「圭音さんが塁に出ればツーベースだって、みんなに言われていました。本当にすごかったですね」
生き残りをかけ、フルスイングするスタイルから低いゴロを打つスタイルに転換。すると徐々に結果が出るようになり、4年になってレギュラーを奪取。秋の横浜市長杯・帝京大戦では1試合3盗塁とアピールした。
栃木に入団した今季は、リーグ戦55試合で打率.354、42盗塁をマーク。シーズン終盤にかけて盗塁のペースが増えた理由について聞くと、桃次郎はこう答えた。
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