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【高校野球】あと一歩届かなかった挑戦者たちの夏 鳴門、綾羽、津田学園が見せた王者への真っ向勝負 (4ページ目)

  • 氏原英明●文 text by Ujihara Hideaki

 さらに8回表にも、二死満塁からセカンドゴロを後逸。2点を失い、試合は決まった。千代監督が悔いる。

「ウチとしては『ミスはOKだよ』『気にしなくていいよ』という野球をしてきたんですけど、横浜相手のミスはやはり大きかった。チーム全体が下を向いてしまいました」

 幸先よく先制しながらミスで崩れた。ただ、そこには横浜のソツのない攻めがあったことを忘れてはならない。ミスに乗じて、確実に得点をあげてくる横浜。そこに強さを感じたというのは、綾羽の捕手・山本だ。

「横浜は選抜で優勝していて、僕らは初出場。失うものはないと思いきってプレーしていました。でも、ちょっとのミスをランナーが見逃さずに生還したり、ほんとに隙がないなと感じました。エラーがなかったら、後半は粘り強くいけたんじゃないかと......でも、やはり走塁の隙のなさはさすがだなと思いました」

【万全な状態で迎えた横浜戦】

 その横浜と3回戦で対戦した津田学園も打倒・王者に挑んだ。

 2回戦を対戦校の出場辞退によって不戦勝となった津田学園は、万全な状態で横浜戦を迎えた。エース・桑山晄太朗は1回戦の叡明(埼玉)戦で延長12回を完投。138球を投げたが、疲労は完全に抜けていた。

 だが、津田学園にとって誤算だったのは、横浜の先発・織田が完璧すぎたこと。その織田のピッチングに呼応するように、打線もつながった。

 3回表の横浜の攻撃。9番の織田がヒットで出塁すると1番の奥村凌大がきっちり犠打で送ると、つづく為永皓がレフトへタイムリー。さらにこの打球を田中寛人が後逸すると、為永は迷いなく一気にホームまで還ってきた。これもまた、隙のない走塁だった。

 その後も6回に1点、8回に2点を奪われ、0対5となす術なくやられてしまった。津田学園にとっては3点ビハインドの7回裏にチャンスをつかんだが、相手の好守に阻まれ無得点に終わったのが痛かった。

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