【高校野球】あと一歩届かなかった挑戦者たちの夏 鳴門、綾羽、津田学園が見せた王者への真っ向勝負 (2ページ目)
チャンスを逃した直後、反撃を受けることになった。2回表、一死から左前打を許すと、つづく7番・宜野座恵夢に左翼への適時二塁打を浴び、先制点を奪われた。
3回から岡田監督は決断を下し、エース・橋本をマウンドに送り出した。予定よりも早い継投だったが、これ以上点差を広げられるとば苦しくなると判断したのだ。
そして、この采配が見事に的中する。橋本は3回から8回までパーフェクトピッチングを披露し、沖縄尚学打線を完全に封じ込めた。
打つほうでも再三チャンスをつくっており、試合の流れは鳴門に傾いているように見えた。
【カウント3ボールから強振】
一方、沖縄尚学も6回からエースの末吉を投入。それでも、鳴門に悲壮感はなかった。
「1回のチャンスで一本ほしかったですけど、その後は抑えられていたので、想定内の試合ではありました」
迎えた8回裏、鳴門はこの回先頭の3番・谷がヒットで出塁。岡田監督は4、5番に任せるだけと腹をくくった。4番の稲山はセンターフライに倒れたが、橋本への期待は高かった。岡田監督が振り返る。
「展開としては、橋本が打ってくれないと困ると思っていました。次につなぐというより、橋本が打って点を取る。長打が出てくれたら......と思って見ていました」
ここで末吉の制球が乱れ、ボールが3球続いた。四球の可能性も十分に考えられ、実際、沖縄尚学の比嘉公也監督は次打者に備え、ベンチから守備位置の確認を指示していた。
しかし、その時だった。橋本は3ボールからの4球目を強振。結果は力ない打球がファーストに飛び、チャンスは潰えた。
試合後、橋本はこの場面についてこう振り返った。
「次のバッターは左打者で、マウンドは(左腕の)末吉くんだったので、つなぐだけでは難しいと思ったんです。自分が打ってなんとかしようと思ったので、3ボールからでも打ちにいきました」
末吉のボールはややひっかけ気味だったが、バッターにとっては難しい球だった。次打者も凡退して、得点を奪うことはできなかった。すると直後の9回表、決定的な2点を奪われ、勝敗は決した。
2 / 5

