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【夏の甲子園2025】東洋大姫路の「下剋上球児」は「ベンチ外の星」 選抜はアルプスで応援→夏は背番号8でスタメン (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro

 ただし、光明もあった。高校に進学後、急に足が速くなったのだ。

「中学の頃は50メートル6秒7くらいで、普通のレベルでした。でも、高校の体育祭で走ったら1番になって。なんでかわからないんですけど、50メートルのタイムは6秒0になりました」

 2年生になり、俊足を生かした外野守備でアピールしようと試みた。だが、タイミング悪く右肩を痛めてしまう。そのまま夏が終わり、最高学年になった。すると、いつの間にか中堅のポジションは1年生の伏見のものになっていた。

「気づいたら伏見が守っていて、『こんなんおったっけ?』とビックリしました」

 木本は2年秋もベンチ入りを逃すが、チームは秋の兵庫大会、近畿大会と勝ち上がり、優勝する。明治神宮大会ではベスト4に食い込み、翌春のセンバツでは優勝候補に挙げられた。ベンチ外の木本の出る幕など、どこにもなさそうだった。

つづく

著者プロフィール

  • 菊地高弘

    菊地高弘 (きくち・たかひろ)

    1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。

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