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父から受け継いだ名門のバトン 九州国際大付・楠城祐介監督が自身初の甲子園へ挑む2度目の夏 (4ページ目)

  • 内田勝治●文 text by Uchida Katsuharu

「岩見は、持っているものは本当にすばらしいです。今の時点では3番を打たせるつもりで、バッティングが注目されていますが、投げても130キロ台後半が出ているので、3年時には150キロ近く出るようになるとは思います」

 岩見は中学時代、ヤング志免レッドスピリッツ(福岡)で135キロをマークした188センチの長身左腕。全国の強豪約40校から勧誘を受けたが、九州国際大付に憧れ、地元から甲子園に出場する道を選択した。

 今夏は背番号9でベンチ入り。「あまり緊張しないで、自分で勝つぐらいの気持ちでやっていきたいです。そして甲子園に行って優勝して、将来的には高校侍ジャパンにも選ばれて、ドラ1でプロに行きたいです」と頼もしい。

 楠城監督はまだ甲子園出場の経験がない。父は九州国際大付を9年間率い、春夏5度の甲子園に導いた。その父を追う監督人生は、まだ始まったばかりだ。

「0を1にするのはすごく難しいなと感じています。まだ自分が監督になってから甲子園は0回で、それを1回にするのは相当なパワーが必要です。この夏は初戦から、まずは最初の1点を取ることを意識してやっていこうと選手たちには言っています。彼らが持っている力を発揮したら間違いなく優勝をつかめるところにありますので、どうやって1点を取るか、そしてその1点をどうやって守るかに注視しながら、一戦一戦、戦うごとに強くなっていきたいです」

 真っ黒に日焼けした顔が、充実ぶりを物語る。今夏の福岡を制すれば、母校・小倉の最多10度に手が届く。41歳の若き指揮官は0を1にするために、選手を信じて2度目の夏に挑む。

著者プロフィール

  • 内田勝治

    内田勝治 (うちだ・かつはる)

    1979年9月10日、福岡県生まれ。東筑高校で96年夏の甲子園出場。立教大学では00年秋の東京六大学野球リーグ打撃ランク3位。スポーツニッポン新聞社でプロ野球担当記者(横浜、西武など)や整理記者を務めたのち独立。株式会社ウィンヒットを設立し、執筆業やスポーツウェブサイト運営、スポーツビジネス全般を行なう

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