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指名漏れから2年...中央大出身の石井巧&髙橋隆慶が社会人で成長し、ドラフト戦線に急浮上 (4ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro

【一番下手という思いは変わらない】

 2年前のドラフト前に届いた調査書は、わずか1球団。それも「育成ドラフトなら」という評価だったため、髙橋はJR東日本に入社する意思を固めている。当時と比べれば、自信を持てるようになったのではないか。そう尋ねると、髙橋は「今も自分が一番下手という思いは変わらないです」と答えた。

「もともと高校、大学、社会人と評価が低いところからのスタートでした。高校ではシニア、ボーイズ上がりの同期と比べて、軟式上がりの自分は見劣りしていましたし、大学は甲子園常連の同期が多かったですし。社会人も同期に(東京)六大学で三冠王を獲った栗林(泰三/慶應義塾大出身)がいて。それでも、『下手でもやれる』という気持ちでやってきましたし、環境に左右されるプレーヤーでは長続きしないと思うんです。これまでやってきたことを、今までどおりやる。それが一番だと考えています」

 大学同期の石井について尋ねてみると、髙橋は「あいつこそ、プロじゃないですか」と笑った。

「バッティングだけの選手は打てなくなったら評価が下がってしまいますけど、石井は守れるのが強みですよね。自分は打つほうは継続してやっていって、守備や走塁はまだまだできることがたくさんあります。まずは都市対抗に出ることが大前提ですけど、レベルアップした姿を見せたいですね」

 8月28日に開幕する第96回都市対抗野球大会に向けて、全国各地で予選が繰り広げられている。東京二次予選も佳境を迎えつつあり、JR東日本は第3代表決定戦へ、NTT東日本は第4代表決定トーナメントに回り、あと1敗でもしたら予選敗退という崖っぷちに立たされている。

 石井巧と髙橋隆慶。社会人で旬を迎えた中央大OBは、瀬戸際で存在感を示すことができるのか。壮絶な戦いの火ぶたが切られようとしている。

著者プロフィール

  • 菊地高弘

    菊地高弘 (きくち・たかひろ)

    1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。

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