指名漏れから２年...中央大出身の石井巧＆髙橋隆慶が社会人で成長し、ドラフト戦線に急浮上 (3ページ目)

JR東日本のスラッガー・髙橋隆慶　photo by Kikuchi Takahiroこの記事に関連する写真を見る

【求められた長打と崩れたバランス】

　その石井が、「あいつはすごいですよね。プロに行くんじゃないですか？」と語るのが、JR東日本の４番打者に座る髙橋である。

　身長185センチ、体重88キロと恵まれた肉体の持ち主で、社会人１年目の昨季は公式戦・オープン戦を含め10本塁打、今季はすでに公式戦での５本塁打を含め８本塁打を放っている。

　そんな髙橋も中央大では２年時に春・秋リーグ合わせて４本塁打を放って以降は、ノーアーチに終わっている。髙橋は「大学ではうまくいかないことが多かったですね」と振り返った。

「自分は体が大きいので、長打を求められてきました。長打が出れば１本で得点圏にランナーが進めてチャンスになる。大学では、その意識が強すぎて崩れた感じでした」

　長打を打ちたい思いが強くなればなるほど、力みから本来の長打力が発揮できなくなる。JR東日本に入社後、その悪循環を断ち切った。

「社会人に入って、『まずは（ボールを）とらえないと始まらない』と考え方を変えました。コンタクトすれば、長打は出る。そうイメージするようになって、結果が出るようになってきました」

　スイングもシンプルにした。大学では「こうやって呼び込んで、この軌道で振り出して......」と細かくこだわっていたのを簡略化。さらに、本人が「石川（修平）コーチに出会って、１試合ごとに修正できるようになった」と語るように、出会いにも恵まれた。

　守備位置も変わった。明秀学園日立高（茨城）ではおもに捕手、中央大では右翼手、一塁手、DHとして出場していた。だが、現在は三塁手として定着している。

「大学の時は、キャッチャーには２学年上に古賀さんがいて、ファーストには１学年上の北村さん（恵吾／ヤクルト）がいて......。打つほうは目をかけてもらっていたんですけど、守るところがなくて転々としていました」

　守備への関心も意欲も乏しかった。だが、JR東日本に入社するにあたって、濵岡武明監督から「サードで行くぞ」と声をかけられ、覚悟を決めた。

「守備に真面目に取り組むようになったのは、社会人に入ってからです。去年は嘉数（駿）コーチ、今年は木本（徹）コーチと、熱心に取り組んでくださる方がいて。『この人たちの情熱を無駄にしたくない』という思いがありました」