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母は元バレーボール日本代表 今秋ドラフト上位候補の創価大・立石正広がセカンドコンバートでも躍動 (4ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro

 脚力も高く、昨年12月の大学日本代表候補合宿では50メートル走の計測(光電管を使用)で6秒07をマーク。この日の試合でもスピーディーなスタートを切り、盗塁を決めている。この運動能力の高さも、立石の野球人生を支える大きな財産になりそうだ。

 今季第4号を放った打撃については、「入っちゃった」と実感を語っている。

「2ストライクになっても変化球が来るだろうなと、ノーステップになっても変化球を張っていました。『ライトフライかな』というイメージだったんですけど、逆方向に入っちゃいました。でも、あとで動画を見返したら、腰が引けることなくちゃんと体が残って振れていたので。そこはよかったのかなと思います」

 立石は使用するバットにも特徴がある。スラッガー系の打者は、細い形状で重心が先端寄りのトップバランスのバットを使う選手が多い。だが、立石の使うバットは、中心から先端にかけて太い形状のミドルバランス。ソフトボール選手が好んで使うバットのようだ。立石にとって「振り抜きやすい」という実感があるという。

 一見すると、野球界で流行している「魚雷バット」に少し似ている。そんな感想を伝えると、立石は「今度、魚雷バットを試打させてもらうんです」と明かした。

「今のバットに満足しているので、よっぽどのことがないと試合では使わないと思うんですけど。メリット、デメリットがあると思うので、まずは試してみたいですね」

 今後、もし立石が魚雷バットを携えて打席に入るシーンがあるとすれば、よほど感触がよかったということだろう。

 5月3日の駿河台戦(1回戦)で、立石は4試合連続となる5号本塁打を放った。5月4日時点で、創価大は勝ち点3(7勝3敗)でリーグ2位。勝ち点4(8勝1敗)の共栄大を追っている。5月17日からの最終節、創価大と共栄大の直接対決で創価大が連勝すれば、創価大の逆転優勝。共栄大が1勝でも挙げれば、共栄大の優勝になる。

 6月には大学選手権、そして大学日本代表候補合宿などビッグイベントが控えている。秋が近づくにつれ、立石正広の評価はどこまで高まるのか。見逃せない戦いが続く。

著者プロフィール

  • 菊地高弘

    菊地高弘 (きくち・たかひろ)

    1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。

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