「思考が変われば行動が変わる」 元中日・吉見一起が語るドミニカでの体験と高校球児に伝えたいこと「大谷翔平くんが究極」 (2ページ目)
日米がオフシーズンの冬、ウインターリーグは中南米各国などで開催される。そのなかでドミニカのリーグは最高峰だ。同国のメジャーリーガーが地元のファンの前で勇姿を見せようと参戦することに加え、プレー機会や契約締結を見据えたアメリカ人やラティーノなどが参加する。
吉見氏は23歳だった2007年にプレーし、マインドセットに大きな影響を受けたと振り返る。
「一番の発見は、『日本人と外国人は、こんなに考え方が違うんだ』ということです。日本人には慎重な人が多いし、それは大事なことだと思いますけど、人生を楽しくするためにはもっと大胆に生きていいんじゃないかなと。大きな失敗をするかもしれないですけど、僕は人生、楽しんだ者勝ちだと思うので。ひとつのことにクヨクヨしている時間はもったいない。そういう考えをドミニカで得られました」
吉見氏が所属したエストレージャス・オリエンタレスでは、試合前に打撃練習をしている選手の横でサッカーをしている者たちもいた。「試合に向けて、そんなに神経質になる必要はないんだな」と心の整え方を学んだ。
ところが一転、プレーボールがかかるとスイッチが入り、ラテンの選手たちは闘争心をむき出しにする。特にウインターリーグ前半は若手や経験の浅い選手も多く、何としても自分をアピールして契約につなげようという、自己中心的な姿勢も少なからず見られた。
【衝撃を受けた"人のせいにする"発想】
吉見氏にとって最も衝撃的だったのは、ある試合でエストレージャスの先発投手が初回途中にKOされた直後のことだ。マウンドを降りた投手は、監督と激しく口論をしていた。
「あの球審がストライクをとらないから、俺は打たれたんだ!」
通訳に聞いた言葉は、吉見氏にとって思いもよらないものだった。
「そんな考え方、自分にはなかったものでした。人のせいにするのはダメだと思うけど、そうやってうまくストレスを溜め込まないことは大事だなと。すばらしい考え方だなと思ってしまったんです」
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