【選抜高校野球】横浜を日本一へと導いた村田監督の「執念の采配」 1球継投、超前進守備、伝令... (4ページ目)
9回表も山脇が2四球を出すなど乱れたこともあり、優勝まであと1アウトの二死満塁から伝令を出した。
「タイムの使い方は慎重にいきました、今日は」
そうつぶやいた村田監督。その裏にはこんな思いがある。
「負け続けてきたので......夏は2年連続(神奈川大会決勝の)8回に点を取られて負けて。悔しいというか、立ち直れないぐらいの感情がありました。それでも、選手たちは前を向いていた。僕も勝ちたい、勝ちたいじゃなくて、負けないためにはどうしたらいいかだと気づかされました」
指揮官として、やるべきこと、できることはすべてやる。それが、継投であり、伝令。そして、自らブルペンへと足を運ぶこと。直接言葉をかけること。とにかく「後悔したくない。すべてやり切るんだ」という気持ちだけだった。
必死な指揮官の想いに選手が応え、ついてきた結果が公式戦20連勝。21点を取って清峰(長崎)を下した2006年以来、19年ぶりの日本一だった。
著者プロフィール
田尻賢誉 (たじり・まさたか)
1975年、神戸市生まれ。学習院大卒業後、ラジオ局勤務を経てスポーツジャーナリストに。高校野球の徹底した現場取材に定評がある。『明徳義塾・馬淵史郎のセオリー』『弱者でも勝てる高校野球問題集173』(ベースボール・マガジン社刊)ほか著書多数。講演活動を行なっているほか、音声プラットフォームVoicy(田尻賢誉「タジケンの高校野球弱者が勝つJK」/ Voicy - 音声プラットフォーム)でも毎日配信している。
フォトギャラリーを見る
4 / 4