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【選抜高校野球】もはや「冬のセンバツ」 極寒の甲子園で選手たちはどう戦ったのか? (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro

 一方、背番号1の杉本羽輝は「昨日のリハーサルの時点で寒いことはだいたいわかっていたので、想定できていました」と語った。

「アップをして常に体を温めていたので、試合中は寒いと感じることはなかったです」

 柳ヶ浦は開幕戦で二松学舎大付(東京)に敗れたものの、2対3と接戦を演じている。

【北海道出身の左腕が活躍】

 一方、初戦で米子松蔭(鳥取)に10対2と大勝した花巻東(岩手)は、コンディションが悪いという認識すらなかったようだ。主将の中村耕太朗は言う。

「むしろ暖かいです。甲子園は日差しがあるだけで、こんなに暖かくなるのかと思いました。岩手は日差しがあっても、寒い時は寒いですから」

 筆者が驚いていると、中村はこう続けた。

「ほかの高校も寒いと感じるところが多いのかなと思います。自分たちは寒いのをずっと経験しているので、そこは強みかなと実感しています」

 北国の選手ほど「冬のセンバツ」は有利なのだろうか。そこで、大会2連覇を目指す健大高崎(群馬)の青柳博文監督にも聞いてみた。なぜなら、健大高崎の左右二枚看板である石垣元気と下重賢慎は、いずれも北海道出身だからだ。

 ナイトゲームの終盤には雨にも見舞われた18日の明徳義塾戦、青柳監督は「自分はベンチで凍えていました」と明かした。北海道出身者は寒さの残る甲子園では有利なのでは、と仮説を向けると、青柳監督は「それはあるかもしれません」と答えた。

「下重は半袖で練習していますし、石垣なんてタンクトップ姿で、こっちが心配になるんですよ。そんなに体を冷やして大丈夫なのかって」

 石垣が故障のため登板回避するなか、下重は明徳義塾との延長10回タイブレークの死闘をひとりで投げ抜き、勝利を収めている。

【寒さを克服した沖縄尚学が快勝】

 筆者が特に注目していたカードは、大会2日目(19日)の青森山田(青森)対沖縄尚学(沖縄)である。北の青森山田、南の沖縄尚学。気温9度という環境での戦いだったが、試合は沖縄尚学が6対3で快勝している。

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