【選抜高校野球】もはや「冬のセンバツ」 極寒の甲子園で選手たちはどう戦ったのか? (3ページ目)
沖縄尚学の比嘉公也監督は、選手としても監督としてもセンバツ優勝を経験している。沖縄では考えられない寒さに打ち勝てた要因について聞くと、こんな答えが返ってきた。
「昨年の秋に明治神宮大会に出場させてもらったのが大きかったです。あの時は今日以上に寒かったですから。あれを経験できたのはよかったなと」
明治神宮大会は全国10地区による地区大会を優勝したチームが出場できる。そう考えると明治神宮大会は全国屈指の強豪と戦う腕試しの場というだけでなく、「冬のセンバツ」のリハーサルにもなるのか。
ただし、比嘉監督に「何か寒さ対策はしたのですか?」と尋ねると、しきりに首をひねる比嘉監督から逆に問われた。
「何かあります? あれば教えてほしいです」
一方、選手たちはどうやって戦っていたのか。二塁手を務める比嘉大登は試合中、涙ぐましい寒さ対策をしていたことを明かした。
「5回までは太陽が出ていたのでまだ我慢できたんですけど、グラウンド整備が終わったら太陽が隠れて雨もパラついてきて。寒いし、緊張するし、カチカチになっていました。だから守備中はずっとジャンプして、足が固まらないようにしていました」
一方、敗れた青森山田の選手は、「青森のほうがずっと寒いので、甲子園は全然寒くなかった」と語る選手が多かった。そんななか、ある選手はこんな実感を語っている。
「寒さより空気が乾燥していて、指先がカサカサになったのが気になりました。言い訳にはしたくないんですけど、対策しないといけない部分だったと感じます」
いくら寒さに強い北国のチームであっても、冬場は雪に閉ざされ実戦練習が不足するハンディキャップがある。逆に南国のチームは寒さに弱くても、年間通して実戦練習ができるアドバンテージがある。
センバツが開催されるのは、対外試合が解禁されて間もない肌寒い時期。その時期に強いと一概に断じられるチームはなさそうだ。
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