東海大相模の「悲運のキャプテン」は大学日本代表を目指す 守備の名手はプロ入りにも意欲 (2ページ目)
「高校生の時もジャパンに選ばれることをひとつの目標にしていましたし、プロになるためのひとつの通過点になると思います。来年はなんとかアピールして、代表に選ばれたいですね」
東海大に進学後も得意の守備に磨きをかけてきた。テーマは「正確性」だった。
「『1球の集中力』を意識してやってきました。とくに冬場はノックを受ける本数も多くなりますけど、最後まで気を抜くことなく1球1球集中しています」
【来年はプロを目指したい】
その一方で、課題にも向き合ってきた。高校時代は非力なイメージのあった打撃も、今秋の首都大学リーグで2本塁打を放つなど進化してきた。大塚は「高校時代と比べたらバットを振る力がついてきて、インパクトが強くなってきました」と手応えを語る。
大学日本代表の堀井哲也監督(慶應義塾大)は、野手を選考するうえでポイントにしていることのひとつに「バットコントロール」を挙げる。
「早いカウントからヒットを打てるバットコントロール、2ストライクに追い込まれた後に対応するためのバットコントロール。この両方を持った選手が国際試合で勝つために必要だと、選手たちにも伝えています」
守備力が高く、打撃での対応力がある大塚は、大学日本代表が求める選手像に合致する。もちろん、大塚も自覚している。
「自分は体も小さいですし、打率を残せるバッティングをしていきたいです。いかに粘って、ピッチャーが嫌がることをできるかが大事だと考えています」
合宿中の50メートル走計測(光電管による測定)では、27選手中5位タイとなる6秒07をマークした。それでも、今秋のリーグ戦は盗塁シチュエーションでのタイミングが合わず2盗塁にとどまっただけに、「来年は盗塁を増やしたい」という野心を燃やしている。
大塚は力強く宣言した。
「来年はプロを目指してやっていきたいです」
今年は宗山塁(明治大→広島1位)がドラフトの目玉になったように、守備力の高い遊撃手はプロ側の需要が高い。来年の秋が深まる頃には、大塚のことを誰も「悲運のキャプテン」とは呼んでいないはずだ。
著者プロフィール
菊地高弘 (きくち・たかひろ)
1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。
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