【ドラフト2024】東北の大学球界に「右の大砲」出現 富士大・渡邉悠斗は「山﨑武司二世」だ! (3ページ目)
「50m走は6秒5、遠投は120mぐらいです......はい、ホームベースから投げて、外野スタンドに入りますから。握力はたぶん55キロくらいですけど、ベンチプレスが125キロ、背筋力は280キロぐらいだったかな」
ものすごい数値を、淡々と記録していく。
「3年春からバッティングに波がなくなって、すごく安定してきました。右投手、左投手、オーバーハンド、サイドハンド、春、秋......いつもコンスタントに打ってくれます」
就任4年目の安田慎太郎監督は、辛口一辺倒ではなく、是々非々を明確に話してくれる新進気鋭の指導者である。
「どれだけ追い込んだ練習をしても、試合が続いても、悠斗は疲れて(調子が)落ちる......ってことがない。夏のオープン戦で、ファーストでひと試合使ったあとに、2試合目はキャッチャーでフル出場してもケロッとしていますから」
安田監督があきれるように笑いながら語る。
「ケガをしない体、疲れに強い体......リーグ戦期間中、気温がどんどん高くなっていくなかで、悠斗みたいな選手はほんとに頼りになるし、ありがたい。野球のほうも間違いなく伸びていますけど、最大の長所はやっぱりあの屈強さですね。最近はプロの練習についていけないルーキーが多いという話を聞いたことがありますけど、悠斗だけはそういう心配がないですね」
そんな渡邉の進路は、プロ一本。"育成"でも厭わずの姿勢を示している。
今年、富士大はチームメイト7人がプロ志望届を提出した。この秋のリーグ戦で優勝の立役者となり、MVPを獲得した左腕エース・佐藤柳之介の1位指名がささやかれているが、その次に名前が挙がるのは、はたして──。今秋、本塁打王と盗塁王に輝いた麦谷祐介か、それとも屈強なハードパンチャー・渡邉なのか。運命の瞬間が、刻一刻と迫っている。
著者プロフィール
安倍昌彦 (あべ・まさひこ)
1955年、宮城県生まれ。早稲田大学高等学院野球部から、早稲田大学でも野球部に所属。雑誌『野球小僧』で「流しのブルペンキャッチャー」としてドラフト候補投手のボールを受ける活動を始める。著書に『スカウト』(日刊スポーツ出版社)『流しのブルペンキャッチャーの旅』(白夜書房)『若者が育つということ 監督と大学野球』(日刊スポーツ出版社)など。
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