【ドラフト2024】東北の大学球界に「右の大砲」出現 富士大・渡邉悠斗は「山﨑武司二世」だ! (2ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko

 高校時代は強肩・強打の捕手としてならし、無死一塁でも送りバントのサインは一切出ず、追い込まれてから進塁打で戻ってくると、「よくやった」どころか、「ホームランを狙わんかい!」と怒られていたという。

 富士大に進んで、3年春のリーグ戦から4番に定着すると、猛烈なスイングスピードから長打を連発。

 3年秋には首位打者、ベストナインを獲得。今年の春は4本塁打で本塁打王、さらに打点王、ベストナインに輝いた。この秋のリーグ戦でも二塁打を量産し、昨春以来のリーグ戦優勝の原動力となった。

「打球が飛ぶようになったきっかけって、とくに『これ!』っていうのもなかったんですけど......」

 飾り気がなく、実直......なんとも言えない大物感が漂う。

「去年の春の沖縄キャンプからオープン戦にかけて、完全なすり足だったタイミングの取り方を、軽く左足を上げてからですかねぇ。あと、スイング軌道をうしろから前に大きく振り抜くスタイルに直し、それが体に馴染んできたんだと思うんです」

 とにかく打球のスピードがとんでもない。あっという間に、ライナーで外野フェンスを直撃、もしくは超えていく。

「長打はレフト方向が多くなっているんですけど、自分としては右中間の二塁打、三塁打が好調のバロメーターなんです。やっぱり、バッターとして売り出したいんで、プロで働くにはセンターから右中間へ長打が打てないと厳しいと思うんです」

 必要なことだけを、訥々と話す。

「誘い球っていうんですか、際どいボールに手を出してしまうことがあるんで......。自分としてはヒットや長打になりそうなボールだけを打つ努力をしているんですが、なかなか難しいです」

【どんな環境でもコンスタントに結果を出す】

"バットマン"という認識があるのか、話題はどうしてもバッティングのことに偏りがちだが、守備力もなかなかのものだと見ている。

 扱いが難しいファーストミットを、地面を滑らせるようにしてゴロを捕球し、直後のスナップスローに移る動きが柔軟で、右腕が送球方向へしなやかに伸びる。膝、足首も弾力性十分で、これなら三塁手としてもやっていけるし、捕手での二塁送球も低い姿勢のままフィニッシュまで持っていける。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る