夏の甲子園の裏で開催されたもうひとつの高校野球 「リーガ・サマーキャンプ」って何だ⁉︎ (3ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke

【全選手が主体的にプレー】

 今回、エスコンでプレーできることを目的のひとつにエントリーした参加者は多くいたが、ファイナルに進めるのは上位2チームのみ(※残り2チームは打者一巡のミニゲームを実施)。勝たなければエスコンでの一戦に出場できないなか、実力者を優先的に起用するのか、なるべく均等に出場機会を設けるのか。そうしたチームの起用方針も高校生たちが決めた。

 リーガ・サマーキャンプの4チームには監督が置かれず、代わりに元高校球児の大学1年生がコーディネーター(チューターのようなイメージ)を務める。試合中にコーディネーターがサインを出すチームもあれば、ノーサインで戦うことを選択したチームもあった。

「バモス! バモス!」

 チャンスでベンチの柵に登り、指笛を交えて盛り上げるチームもあった。日本の高校野球というより、ラテンアメリカのように闊達な雰囲気だ。試合に入り込み、自然にそうした雰囲気になったと若井は語る。

「高校野球のようにベンチでずっと叫んでいるのはなく、必要な声だけを出している感じです。高校野球ではベンチに座ってはいけないチームもあると思うけど、ここでは座って休憩したり、声を出したりできる。本当にやりたいことをできるのがリーグ戦のいいところだと思います」

 指導者に促されるのではなく、自分たちが必要と考えて声を出す。リーガ・サマーキャンプでは全選手が主体的にプレーし、「野球が楽しい」と自然に口をつくような環境がつくられた。

 高校野球との違いで言えば、木製バットの使用もひとつだ。前述の若井は桐蔭学園では1年時からOBの勧めにより練習では木製バットを使用し、大学を見据えて実戦で「慣れたい」というのが参加理由のひとつだった。結果、エスコンのファイナルを含め2本の本塁打を放っている。

「木製は金属より飛びにくいから、どうやって飛ばそうかと考えるから練習の質が上がります。自分に力がつけばつくほど、木製でもうまく打てば飛んでいく」

 対して、投手目線で木製バットのメリットを語るのが、最速144キロの田上だ。

「金属バットで真芯を食われたら長打があるけど、木製では芯が狭くなるのでストライクゾーンで勝負できる。コントロールも大事だけど、自分の球ならベース盤の上で勝負できると感じられました」

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