夏の甲子園で初めて導入された朝夕「2部制」 現場の監督、選手たちはどう対応し、何を感じたのか? (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro

 そして、気になるデータもある。2部制を実施した3日間で、熱中症と見られる症状が見られたのは8選手。そのうち4人が16時以降に試合があったチームの選手だった。この事態を受け、大会本部は大会4日目以降に16時以降の試合でもクーリングタイム(5回終了後に挟む10分間の休憩時間)を設けることを発表している。

 それでも、現場で奮闘する選手・指導者にとって2部制はおおむね好評だった。南陽工の山崎監督は「我々からすればありがたいことばかり」と語り、こう続けた。

「高校野球はたくさんの方に支えてもらっています。2部制になることで小さいお子さんやご高齢の方にも応援してもらいやすくなるなら、非常にすばらしいこと。(キャプテンの)丸山(想太)には、『いいクジを引いたな』と言いました」

 大会3日目までは2部制・3試合を行ない、4日目からは今まで通り1日4試合の形式に戻っている。

 来夏はどんな形式で開催されるのか。日本高野連は高校野球の7イニング制への変更を検討するワーキンググループを設置し、議論を始めることを公表している。

 高校野球界に一石を投じた2部制は、大きな変革の第一歩になるかもしれない。


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著者プロフィール

  • 菊地高弘

    菊地高弘 (きくち・たかひろ)

    1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。

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