夏の甲子園で初めて導入された朝夕「2部制」 現場の監督、選手たちはどう対応し、何を感じたのか? (2ページ目)
実際に夕方から夜にかけてプレーしてみて、選手はどんな感想を抱いたのだろうか。菰野の2年生二塁手・小山剛に聞いてみると、こんな答えが返ってきた。
「ナイターで野球をするのは今までの人生になかったことなので、いいのか悪いのかわかりません。でも、体力的には三重大会と比べたらラクではありました。照明がついた時は、今までできなかった体験なのでテンションが上がりましたね」
グラウンドコンディションも従来と比べてはるかにいい状態だったはずだ。午前の部が終わるとスタンドは観客を退場させ、グラウンドでは阪神園芸による整備が行なわれた。従来であれば整備用トラクターでならす程度の整備しかできないが、1部と2部の合間だと荒れた土をローラーでプレスするなど、入念な整備ができる。外野の芝生はスプリンクラーによって散水がされていた。
足場が荒れたグラウンドはイレギュラーが起こりやすいが、菰野の小山は「荒れている感じはしませんでした」と振り返る。
「甲子園練習の時より土が硬くて、バウンドが跳ねる感じがしました。前に出て捕ろうと意識していました」
【いつもより打球が速く見える】
選手の体調が第一とはいえ、2部制は必ずしもいいことばかりではない。グラウンド整備、スタンドの清掃、観客入れ替えの警備などコストがかさむ。通常開催時よりチケットの割引がなされているとはいえ、1日を通しで見たいコアなファンにとっては金銭的にも時間的にもストレスがかかる。
また、選手の間ではこんな声もあがった。
「ナイター照明が点灯する前の夕方はボールが見づらくて、とくに変化球は当てるので精いっぱいでした」(京都国際・藤本)
「ナイターは慣れていないので、いつもより打球が速く見えてやりづらかったです」(南陽工・斎郷)
「空が暗くて、フライが見えづらかったです。自分は辛うじて捕れたのですが、すぐチーム内で『見づらいぞ』と共有しました」(菰野・小山)
いずれも試合運営上の不満というよりも、慣れない薄暮から夜にかけての戸惑いを口にしたに過ぎなかった。
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