『MAJOR』バッテリーで注目を集めた聖光学院・佐藤都志也 優勝候補に初戦敗退も「らしさ」発揮

プロ野球選手の甲子園奮戦記（６）〜佐藤都志也（ロッテ）

　2015年夏の聖光学院は"MAJORバッテリー"だと、一部のファンをざわつかせた。

　エースの森久保翔也が、アニメ『MAJOR』で主人公の茂野吾郎役を演じた声優の森久保祥太郎と同姓であること。そして、キャッチャーの佐藤都志也が、茂野の親友である佐藤寿也と同じ「サトウ・トシヤ」のため、インターネット上で話題となったのだ。

聖光学院時代からプロ注目の捕手だった佐藤都志也　photo by Ohtomo Yoshiyukiこの記事に関連する写真を見る

【『MAJOR』バッテリーで注目集める】

　森久保のストレートの最速は141キロで、茂野のようなジャイロボールの剛速球を投げられるわけではないが、このエースのよさを引き出したのが佐藤都志也だ。寿也を彷彿とさせる寄り添い型のリードで森久保を支えた。

　遠投100メートルの肩を生かした送球は、ピッチャーがモーションに入ってからセカンドに到達するまでの最高タイムが3.3秒。捕球してからだと1.9秒と、高校生ながらプロ並みの速さでピッチャーをサポートする。

　高校からプロ注目だった佐藤が、常に精力を注いでいたものがリードである。

「試合前はピッチャーとけっこう話しますね。相手を見ながら『試合の入りをどうするか？』とか、『ピッチングのテンポをどうしていくか？』とかを話し合ったうえで、試合では一球一球、ピッチャーを生かすリードを意識しています。森久保はコントロールがいいので、相性はいいと思っています」

　この夏に智辯和歌山の８年を抜き、戦後最長となる９年連続での甲子園出場を果たした聖光学院の初戦の相手は、優勝候補筆頭の東海大相模に決まった。

　エース左腕の小笠原慎之介と右腕の吉田凌はいずれも150キロに迫るストレートを誇り、打線も神奈川大会でのチーム打率3割8分1厘が物語るように破壊力がある。

　なかでも佐藤が警戒していたのが、エースの小笠原とリードオフマンの千野啓二郎、杉崎成輝と豊田寛の3、4番コンビだった。

　試合前日、「ちょっと緊張してます」と笑みを浮かべながら、強者へ立ち向かうための心構えをこのように話していた。

「『打たれるのが当たり前』くらいの気持ちで大胆に攻めていきたいです。打たれたとしても冷静にリードしていければと思います」