『MAJOR』バッテリーで注目を集めた聖光学院・佐藤都志也 優勝候補に初戦敗退も「らしさ」発揮 (2ページ目)

  • 田口元義●文 text by Taguchi Genki

【出鼻を挫かれた初回の攻防】

 優勝候補との一戦。聖光学院は出鼻を挫かれる。小笠原だと思いきっていた先発が吉田だったのだ。ストレート対策として15メートルの位置から150キロのボールを打ち込んできた対策が裏目となってしまう。吉田が最も得意とするのはキレ味鋭いスライダーである。初回、先陣を切って打席に立った1番バッターの佐藤が、そのボールをまだ見極められずセカンドゴロに打ちとられ、チームも無得点に抑えられる。

 そして1回裏、MAJORバッテリーは相手打線の猛攻を受けた。二死から警戒していた杉崎と豊田に連打を浴び先制点を許すなど、この回4点を失ってしまう。

 3回にも4本のヒットを許して2点を追加され、リードを広げられる。佐藤は「甘い球を見逃してくれなかった」と反省の弁を口にしたが、手応えもあったようだ。

「点差を離されても森久保は粘り強かったです。デッドボールがあったように、厳しく投げてくれたのが気持ちの強さの表れです。負けたのは、単純に相手の力が上だったからです」

 1対6で敗れ、『MAJOR』のような下剋上は果たせなかった。しかし、優勝候補にも臆せず頭をフル回転させ、エースのよさを引き出したキャッチャーは、清々しく汗を拭っていた。

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佐藤都志也(さとう・としや)/1998年1月27日、福島県出身。聖光学院高から東洋大を経て、2019年のドラフトでロッテから2位で指名され入団。強肩・強打の捕手として1年目から開幕一軍を果たし、60試合に出場。22年は楽天との開幕戦に「5番・一塁手」として出場し、初の開幕スタメンを果たす。24年は前半戦から打撃好調でオールスターにも選出。第2戦ではスタメンマスクを被り、あわやサイクル安打の活躍でMVPに輝いた

著者プロフィール

  • 田口元義

    田口元義 (たぐち・げんき)

    1977年、福島県出身。元高校球児(3年間補欠)。雑誌編集者を経て、2003年からフリーライターとして活動する。雑誌やウェブサイトを中心に寄稿。著書に「負けてみろ。 聖光学院と斎藤智也の高校野球」(秀和システム刊)がある。

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