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11年連続NPB選手輩出の真相 「独立リーグの虎の穴」徳島インディゴソックスには今年も12人のドラフト候補がいる (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro

 ただ肉体を強化するだけでなく、岡本監督や橋本球史コーチによる選手に寄り添った技術指導も大きい。今季2年目の外野手の寺岡は、こんな手応えを明かす。

「岡本監督の打撃フォームを教わって、だいぶ結果に表われるようになってきました」

 投球の軌道にバットを入れるスイングへと矯正した結果、今季はリーグ三冠王を狙える勢いで打ちまくっている。もともと今すぐNPBに混ざってもトップクラスの強肩の持ち主でもあり、岡本監督は「寺岡は十分にNPB選手の水準を満たしているので、あとは球団の需要があるかどうか」と自信を口にする。

 そして、今年も投手陣は速球派が揃っている。最速157キロを計測した工藤をはじめ、最速155キロの川口、最速154キロの白川、最速154キロの杉本、最速150キロの中込と実力派がひしめく。横手に近い角度から動くボールと独特のスライダーを武器にする平安山のような、ひとクセのある個性派右腕もいる。

 現在、体づくりに主眼を置く篠崎は徳島インディゴソックスの選手登録を外れ、練習生登録になる時期が長くなっている。選手登録されなければ無給になるため、苦しい内情もあるのではないか。そう聞くと、篠崎は「まったくないです」と即答した。

「周りがどんどん球が速くなっていって、すごい人ばかりなので刺激になります。自分もしっかりとトレーニングができていますし、充実していますね」

 チームは24勝7敗3引き分け、2位と11ゲーム差をつける圧倒的な戦績で、前期リーグ優勝を決めた。だが、彼らにとって本当の戦いは秋にある。最高峰の舞台で戦う権利を手にするため、選手たちは「虎の穴」で牙を研ぎ続ける。

後編につづく>>

※文中の年齢は2024年満年齢

著者プロフィール

  • 菊地高弘

    菊地高弘 (きくち・たかひろ)

    1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。

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