ドラフト指名漏れ→独立リーグ→現役引退→中古車販売→NPBへ最後の挑戦 落合秀市「人生で一番野球漬け」 (3ページ目)
その男性は、落合がプロスカウトから注目されるほどの投手だったことを知っていた。男性の熱心なアドバイスに、落合の心は野球へと傾いていく。恩師の米原監督に相談すると、「グラウンドにおいで」と言ってもらえた。落合は再びグラウンドに立ち、練習を再開する。
高知ファイティングドッグスへの橋渡しは、顔の広い米原監督がしてくれた。もはや「遠いからイヤ」という甘い考えはなかった。落合は「NPBを目指すんやったら、四国(アイランドリーグ)かBC(リーグ)が一番近いと思ったんで」と振り返る。
【失意の落合を救った元阪神の守護神】
だが、落合は高知に入ってすぐ、壁に直面する。体力テストでチームメイトのレベルの高さを痛感させられたのだ。
「メディシンボール投げでチームの最下位くらいやったんです。周りの人に比べて力がなくて、めちゃくちゃ焦りました」
そんな落合に手を差し伸べてくれる人物がいた。今季に入団したばかりのラファエル・ドリスである。ドリスは2016年から2019年までNPBの阪神に在籍し、通算96セーブを挙げた元クローザーである。野球にあまり関心がなかった落合でも、ドリスの存在は知っていた。
チーム関係者を通じてコミュニケーションをとるなかで、落合はドリスに心酔するようになっていった。
「ドリスさんはケガしやん(しない)トレーニングとか、体が強くなるトレーニングをめっちゃ教えてくれます。トレーナーの竹澤(慧)さんやったりドリスさんやったり、いろいろとアドバイスをもらって、いい環境なんでよくなっている感じがあります」
「『ドリスさん』と呼んでいるの?」と尋ねると、落合はコクリとうなずいた。落合のいじらしい一面を見たような気がした。
ドリスにも落合の潜在能力について尋ねると、こんな答えが返ってきた。
「落合はナチュラルにいいものを持っています。ただ、3年も野球をやってきていないので、まだ力を発揮しきれていません。チームで力をつけてアピールしていけば、まだまだ伸びるはず。2〜3年後にはNPBで活躍できるピッチャーだよ」
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