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仙台育英と慶應義塾の「因縁マッチ」を制するのは データ上はセンバツ敗者が有利だが... (2ページ目)

  • 戸田道男●文 text by Toda Michio
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 同年夏の甲子園で、池永は2回戦の松商学園(長野)で走塁中に左肩を負傷。その後は苦しい戦いを強いられたが、ケガを押してマウンドに立つ池永の力投で決勝にコマを進め、史上2校目の春夏連覇まであと一歩までこぎ着けた。

 その決勝の相手となったが、春のセンバツ初戦でぶつかり、5対0で快勝した明星(大阪)だった。明星は決して本調子でない池永の立ち上がりを攻め、失策と4番・和田徹(のちに南海など)のタイムリーで2点を先制。その後立ち直った池永から追加点は奪えなかったが、堀川宏伸--片山哲美の継投で下関商の反撃を1点に抑え、2対1で逃げ切った。明星はセンバツの雪辱を果たすとともに、下関商の春夏連覇を阻み、初優勝を果たした。

 ちなみに、この明星を監督として優勝に導いたのが、1940年の海草中のエースだった真田重蔵。プロ野球でプレーし、ノーヒット・ノーランを2度マークするなど活躍したあと、1958年から明星の監督を務めていた。春の初戦の相手を夏の決勝で倒すリベンジ劇を、選手時代と監督時代の2度成し遂げる稀有な経験の持ち主となった。

 海草中、明星、そして2019年の履正社のケースも合わせ、過去3度はいずれも春の敗者が夏にリベンジを果たして栄冠をつかんでいる。過去の歴史に倣えば、慶應がリベンジを果たすことになるが、仙台育英がジンクスを破って夏連覇を遂げることができるのか。勝敗の行方はまったく予断を許さない。

■春のセンバツ初戦と夏の選手権決勝が同一カード

1940年
春 島田商5対4海草中
夏 海草中2対1島田商

1963年
春 下関商5対0明星
夏 明星2対1下関商

2019年
春 星稜3対0履正社
夏 履正社5対3星稜

2023年
春 仙台育英2対1慶應義塾
夏      ?     

著者プロフィール

  • 戸田道男

    戸田道男 (とだ・みちお)

    1961年岩手県一関市生まれ。明治大学卒業後、東京スポーツ新聞社で4年間野球担当記者を務めたのち、ベースボール・マガジン社入社。週刊ベースボール、ベースボール・クリニックほか野球関係の雑誌、ムックの編集に携わる。2011年に同社を退職し、同年から2021年まで廣済堂出版発行の「ホームラン」編集を担当。現在はフリーランスの立場で野球関連の編集者&ライターとして活動中。

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