仙台育英と慶應義塾の「因縁マッチ」を制するのは データ上はセンバツ敗者が有利だが...

  • 戸田道男●文 text by Toda Michio
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 夏の甲子園決勝は、史上7校目の夏連覇を狙う仙台育英(宮城)と、107年ぶり優勝を目指す慶應義塾(神奈川)の対戦となった。両校は今春のセンバツ初戦(2回戦)で対戦し、延長10回タイブレークの末、仙台育英が2対1でサヨナラ勝ちを収めた。因縁浅からぬ両校が、熱く長い夏の戦いを経て、再び決勝の大舞台で顔を合わせることになった。

センバツの再戦となった慶應義塾・森林貴彦監督(写真左)と仙台育英・須江航監督センバツの再戦となった慶應義塾・森林貴彦監督(写真左)と仙台育英・須江航監督この記事に関連する写真を見る 夏の甲子園決勝カードが、同年春のセンバツ初戦と同じ顔合わせになるのは、2019年の履正社(大阪)と星稜(石川)以来となる。

 この時、春は星稜のエース・奥川恭伸(現・ヤクルト)が履正社打線に対し3安打、17奪三振の好投で完封勝利。夏の決勝は、履正社の主砲・井上広大(現・阪神)が奥川から3ラン本塁打を放ち優位に立つと、同点の8回に2本の適時打で勝ち越した履正社が5対3で星稜にリベンジを果たし、悲願の初優勝を飾った。

 このように夏の甲子園決勝カードが春の初戦の再現となるのは、これ以前に2例あった。

 最初は1940年。夏の決勝を戦った海草中(現・向陽/和歌山)と島田商(静岡)は、この年の春のセンバツ初戦でも対戦していた。

 前年の1939年夏に豪腕・嶋清一が準決勝、決勝と2試合連続ノーヒット・ノーランの超人的な活躍で優勝した海草中は、その時三塁手だった真田重蔵(のちに松竹ほか)がエースとなり40年春のセンバツに出場。

 初戦(2回戦)で対戦したのが、前年夏の準決勝で嶋にノーヒット・ノーランを喫した島田商だった。雪辱を期した島田商は真田を攻略し、5対4で海草中を下した。この両者は、同年夏の地方大会、甲子園を勝ち上がり、決勝で再び対戦。今度は海草中のエース・真田が力投。島田商のエース・一言多十(ひとこと・たじゅう/のちにセネタースほか)との投手戦を制し、2対1で勝利。史上4校目となる夏の甲子園2連覇を達成した。

 2例目は1963年。下関商(山口)は、同年春のセンバツで2年生エース・池永正明(のちに西鉄)の豪腕が冴えわたり、決勝で北海(北海道)を10対0で下して初優勝を遂げた。

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