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日大三・三木有造監督が目指す自然体 以前は嫌われ役に徹する部長だった指揮官の表情に注目! (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 あえて「嫌われ役」に徹した部長時代から、役割が監督に変わった。主将の二宮士(まもる)は、三木監督に替わってからの変化をこう語る。

「はじめは監督が替わると聞いてショックだったんですけど、三木さんは選手を一番に考えてくれる人なので。選手から意見を言えて、のびのびとやりやすい監督だと思います。練習量は変わりませんが、選手同士で言い合って、内容の濃さは変わったのかなと」

「三木監督の表情が部長時代より柔らかくなったんじゃないですか?」と問うと、二宮はうなずいてこう答えた。

「ミスしても打てなくても、ベンチでは『切り替えてマイナス発言をせずにのびのびやろう』と言ってくださって。楽しく野球ができていると思います」

【監督が一番緊張している】

 今夏の東京は上位校にとって不穏なムードが流れていた。東東京では帝京、関東一、二松学舎大付、西東京では東海大菅生がベスト8にも残れずに敗れ去った。そんななか、日大三は苦戦もありながら順調に勝ち上がっていった。

 三木監督が「おまえは当たりさえすれば飛ぶんだから」と高く期待をかけてきた打者がいる。6番打者の針金侑良(はりがね・ゆら)だ。身長192センチ、体重89キロの大型左打者は、今夏の西東京大会準決勝、決勝と2試合連続本塁打を叩き込んでいる。

 針金は冗談めかして「試合では三木さんが一番緊張してますよ」と明かした。

「試合前にやる個人アップの時、いつも三木さんが近くにくるんですけど、歩くのが速くて『今日はソワソワしてるな』とかわかりますから」

 針金に「三木監督は部長時代よりやさしくなりましたか?」と聞くと、意外な答えが返ってきた。

「全然変わってないですよ。自分はずっと(小言を)言われ続けてるんで。でも、別にうるさいとか思わないですし、それが自然な感じですかね」

 針金の高校通算21号本塁打にエース右腕の安田虎汰郎の奮闘もあり、日大三は3対1で日大鶴ケ丘を下して西東京大会の頂点に立った。試合後、涙を流す小倉氏を見て、三木監督がもらい泣きするシーンもあった。

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