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「立浪和義、片岡篤史は徳を積むために草むしりをしていた」PL学園元監督の中村順司が甲子園春夏連覇の偉業を振り返る (2ページ目)

  • 藤井利香●取材・文 text by Fujii Rika

●「徳を積む」立浪和義、片岡篤史らの早朝草むしり

 前評判はそれほど高くないなかで手にしたセンバツ優勝。そしてこの瞬間、「先輩たちができなかったことをやろうぜ」とチームに明確な目標が生まれた。春夏連覇である。さらにその目標を達成するために、選手自身で決めて行動に移したことがあった。

「徳を積むということで、グラウンドの草むしりを始めたんです。中心にいたのは立浪、片岡篤史、住野弘宜の3人。寮の起床が6時半だったので、その30分前に起きてやっていた。その姿は、8月21日の決勝の朝も変わることはありませんでした」

PL学園の監督を18年間務めた中村(左) 写真提供/中村順司PL学園の監督を18年間務めた中村(左) 写真提供/中村順司この記事に関連する写真を見る 優勝候補筆頭で迎えた1987年夏の甲子園。初戦こそ苦戦したもののPL学園は順当に勝ち上がり、決勝の相手はかつて取手二高(茨城)を率いて全国優勝した木内幸男監督率いる常総学院(茨城)だった。

 KKコンビが2年生の夏に決勝で敗れた相手である。今も過去の出来事をこと細かく記憶している中村だが、試合を振り返る前に口にしたのは、グラウンド外でのある出来事だった。

「取手二に敗れた時のメンバーである清水哲がこの試合でPLが勝つところを見たいと観戦を希望してきたんです。清水は桑田の1学年上で、進んだ大学でプレー中に頸椎(けいつい)を損傷する事故に遭い、車いす生活を余儀なくされていました。

 清水の思いに応えてやりたいと高野連(日本高校野球連盟)にお願いし、ベンチ横にある用具室での観戦が実現。立浪らが試合前に迎えに行き、みんなで勝利を信じて戦ったことを思い出します」

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