双子バッテリーの野望 日大東北・堀米翔太&涼太は「後輩に甲子園の景色を見せたい」 (4ページ目)
ひと皮むけた兄のたくましさを、涼太はマウンド上でひしひしと感じとっている。
「もともと配球は汲み取りやすいっていうのはあるんですけど、今はそのパターンが読まれていると感じたら、バッターの裏をかくボールを要求してくれたり......築き上げてきたものっていうのはほかのキャッチャーより翔太のほうが大きいですし、兄弟というよりひとりのキャッチャーとして頼りになります」
ケガにより満足にプレーできない時期はあったが、成長に欠かせないステップだったと翔太は振り返る。
「トレーニングが制限されているなかで、考えながら鍛えることはできたし、ピッチャー陣も『涼太だけじゃないんだ』って思いながら一人ひとりと接することができました。いろんな意味で勉強になって、視野も広がりましたけど、『野球ができることは当たり前じゃないんだ』って思えたことが一番の成長かもしれません」
堀米ツインズ、集大成の夏。
今年の福島で最も話題性が高いのは、間違いなく彼らだ。当人もその自覚はある。だからといって、指針がブレることはない。翔太と涼太が、チームに対して頻繁に口にしていることがある。
「オレたちと槌谷(蒼太)は、1年の時に先輩たちから甲子園の景色を見せてもらった。今度は自分たちが後輩たちにその景色を見せて、想いをつないでいくから」
伝播する、熱き想い。そこはツインズとしても、決して大声では言わないが、野望はある。ふたりだけで、こんなことをよく話す。
「双子バッテリーとして甲子園に帰ってきたら、絶対話題になるよな」
著者プロフィール
田口元義 (たぐち・げんき)
1977年、福島県出身。元高校球児(3年間補欠)。雑誌編集者を経て、2003年からフリーライターとして活動する。雑誌やウェブサイトを中心に寄稿。著書に「負けてみろ。 聖光学院と斎藤智也の高校野球」(秀和システム刊)がある。
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