大阪桐蔭・前田悠伍と双璧をなす享栄・東松快征 重量挙げ元日本チャンピオンの父から譲り受けたパワーで最速152キロをマーク (2ページ目)

  • 大友良行●文・写真 text & photo by Ohtomo Yoshiyuki

 食トレも欠かさず、母親がつくってくれるごはんのおかげで10キロ近く体重が増えた。力強いがっしりした体ができあがり、同時にフォーム改造にも踏みきった。大藤監督がその成果について語る。

「動作解析でチェックしたら、かつぎ投げをするところがあったので、打者に見づらいフォームにしようということで取り組んできました。今まで振りかぶっていたフォームをやめて、セットからシンプルに無駄な動きをなくして投げる。ゆったりしたフォームから驚くような速い球がきたら打者はびっくりする。今はしっかりフォームができあがれば、コントロールもよくなると教えています」

【プロスカウトが語る変化】

 そして大藤監督は、東松への期待を口にする。

「自分が納得いかないと動かない子なので......。今年に入ってからは、智辯和歌山、健大高崎、敦賀気比などの強豪校相手に好投を続けています。本人も満足しているようなので、ここままいけるのではないでしょうか。

 東松を中学時代に見た時、日本一の投手になれると思いました。絶対に甲子園に行って、私に二度目の胴上げ(中京大中京の監督として2009年夏に全国制覇)をするんだと言ってくれています。うれしい限りですが、それだけ素質のある子なんです。とにかくひたむきな性格で、打者に向かっている。最後の夏ですから、やってくれると思っています」

 東松を見つづけているDeNAの中川大志スカウトは、フォーム改造についてこう見ている。

「これまではどちらかと言うと力だけで投げていたが、改造してからはフォームのバランスがよくなりました。昨年の夏に比べると、今年は体の上下動がなくなり、目線がぶれないようになってきた。リリースも安定して放れるようになって、体の強さをしっかりボールに伝えることができている。順調に成長していますね。彼のスピードボールは大きな魅力。力強さは、高校生のなかではトップクラスでしょう」

 いよいよ高校生活、最後の夏が始まろうとしている。東松はこんな目標と夢を掲げる。

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