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関西大の有馬諒が大学ナンバーワン捕手の座へ ライバルには「自分より能力が高いのは明らか。でも最終的に勝てればいい」 (2ページ目)

  • 菊地高弘●文・写真 text & photo by Kikuchi Takahiro

 それでも、大学1年からレギュラーが約束されていたわけではない。関西大の2学年上には久保田拓真(現・パナソニック)という強肩強打の正捕手がいたからだ。身長183センチ、体重97キロと筋骨隆々の久保田を見て、有馬は「自分は足元にも及ばない」と感じたという。リアリストな性分でもあり、「3年からレギュラーを獲れればいいか」と気持ちを切り替えた。

 だが、控え生活が2年目に入ると、有馬の心境に変化が生まれる。

「どうしても試合に出たい。出てやろう。久保田さんを追い越したい」

 それまでの安穏とした姿勢ではなく、ガムシャラに正捕手を狙うようになった。2年秋のシーズンは久保田が左手を痛めて三塁手に回ったこともあり、有馬が正捕手に起用されるようになった。以来、有馬は大学代表の候補合宿に呼ばれる存在になる。

 だが、「候補」にはなっても、正式な代表メンバーに選出されたことはない。

【評価が難しいリードという武器】

 有馬という捕手は評価が難しい。打撃力も守備力も高い次元にあるものの、何が突出しているかと言えばピックアップしづらい。有馬自身もそれは認めている。

「自分としてはリード面が強みだと思っていますけど、数字を通して表れにくいですから。キャッチャーを評価する際にわかりやすいのは、バッティングとか肩の強さとか数字や目に見えやすい部分ですよね」

 関西大の早瀬万豊監督も、有馬の「数字に表れにくい」部分に全幅の信頼を寄せている。早瀬監督は社会人野球の名門・日本生命で選手、監督としてそれぞれ都市対抗優勝を経験しているベテラン指揮官だ。

「有馬は周りをよく見られるキャッチャーです。試合の流れ、相手の攻め方をトータルで考えられる。自分自身のことも冷静に見つめていますね」

 昨年12月の代表候補合宿でも、有馬は持ち前のリードで「らしさ」を発揮している。紅白戦で同じ関西学生野球リーグで活躍する谷脇弘起(立命館大)と、バッテリーを組んだ時のことだ。

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