花巻東・佐々木麟太郎は新記録よりも究極の打撃を目指す「バッティングに正解はない。ベストを探っていきたい」 (2ページ目)

【忘れられない打席】

　麟太郎にとっての"究極の打撃"とは何か。むろん、岩手大会や東北大会、そして1年秋に出場した明治神宮大会でも魅了してきた長打力が「自分の持ち味」であることは自覚している。そのうえで、目指すは勝利を呼び込む一打だ。

「それぞれにタイプや考え方は違うと思いますが、自分は長打を売りにしながらも、あくまでも得点圏の走者を還す打撃を追い求めていきたい。いかに得点に結びつく打撃ができるかどうか。これまで得点に結びつく打撃ができた時は、チームとして勝つ確率が高かったですし、逆に結果が出なかった時は負けることが多かった。自分の結果次第で勝敗が変わる......それくらいの意識と覚悟を持って、今年はさらに結果を求めていきたいと思っています」

　究極の打撃と言えば少し大袈裟な表現になってしまうが、麟太郎が「印象に残っている打席」と振り返るのが、1年秋の明治神宮大会の国学院久我山（東京）戦で豪快にライトスタンドに放った１回裏の第１打席である。

「自分のなかで"いいイメージ"がついたホームランでした。秋の岩手大会はよかったのですが、東北大会から打撃の状態が落ち、神宮大会直前まで変わらなくて......。苦しみながらいろいろと変えて試して、そのなかで打ったのがあの1本。いい意味でこだわりすぎない、型にはまらない。その時々で対応することも大切なんだということを感じましたし、工夫する大切さ、レベルアップするためにはいかに考えてやることが大事なのかを感じた打席でした」

　この先制ソロを含む3打点で勝利を呼び込んだことを考えても、麟太郎が目指すものに近い打撃がそこにはあった。

　2年春のセンバツ大会では、両肩手術の影響もあってノーヒット。それでも「センバツの悔しさを晴らしたいという思いが、これまでのモチベーションになっている」と語る。

「バッティングには正解がないと思っています。これからもベストな状態を探っていきたい」