花巻東・佐々木麟太郎は新記録よりも究極の打撃を目指す「バッティングに正解はない。ベストを探っていきたい」
Sportiva注目若手アスリート「2023年の顏」
第19回:佐々木麟太郎(高校野球)
2023年にさらなる飛躍が期待される若手アスリートたち。どんなパフォーマンスで魅了してくれるのか。スポルティーバが注目する選手として紹介する。
現在、高校通算106本塁打を放っている花巻東のスラッガー・佐々木麟太郎この記事に関連する写真を見る
【挑戦できる冬を実感している】
2023年が明けた花巻東高(岩手)の室内練習場に快音が響く。練習時に使用する950グラムほどの重い木製バットが、まるで冷え切った空気を熱風に変えるようだ。佐々木麟太郎の分厚い両手は、自然と熱を帯びる。
「昨年のオフシーズンは手術(胸郭出口症候群で両肩を手術)の影響もあって思うような練習ができませんでしたが、(手術は)やってよかったと思っています。ただ成長という点では、少し遅れた部分があったかもしれません。そういう意味では、今年のオフシーズンはできることが多くて、"挑戦できる冬"を過ごせている実感があります。あらためて、2023年は勝負の年だと思っています」
184センチ、113キロの体躯を持ってしても、今は実戦を見据えて筋肉の質や機能を高めながら体づくりに励む。
「技術も全然足りていない」
そう語る麟太郎は、バットを握れば「探って、試して」を繰り返しながら、自身にとって究極の打撃を追い求めるのだ。
「自分自身の売りは、やはりバッティングだと思っています。バッティングにつながる"動きづくり"は、これまでもそうですが、今年の冬も意識を高く持って取り組んでいきたいと思います」
これまでポジションはおもに一塁を守ってきたが、昨年秋は投手や捕手、そして三塁にも挑戦した。「最後はチーム状況でどこを守るかわからないですが......」と前置きしたうえで、こう語る。
「いろんなところを守れるのは、バッティングにおいてもプラスだと思っています。ポジションごとにそれぞれ感じるものが違います。たとえば、投手なら打者の攻め方を考えられるし、捕手なら打者の特徴を考えて配球します。そういう経験は、自身のバッティングに生かされると思っています」
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