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英数学館ナインが指揮官に贈った『広陵を倒したあとの3日間』という経験。「甲子園が目標とはっきりと言えるようになった」 (7ページ目)

  • 井上幸太●文・写真 text & photo by Inoue Kota

 英数学館の監督室には、黒田の旧友である田中広輔ら、何人かのプロ野球選手から寄贈されたサイン色紙が並べられている。そこに書かれた激励のメッセージは、「目指せ、(県)ベスト4!」。だが、夏が終わって、あるプロ野球選手から届いた色紙には、異なるメッセージが記されていた。

「目指せ、甲子園!」

 黒田が続ける。

「今回の夏は、選手たちが初めて『目標は甲子園』と言ってくれた夏でもありました。それまでは『県で上に行こう』とか、ベスト8、ベスト4のように目標を立てていて。それもいいんですけど、やっぱり中途半端だった。それが、メンタルトレーニングを取り入れて、ちゃんと『甲子園が目標』と言えるようになってきて、ひとつ結果も出せて、周りの方からの見られ方も変わってきた。チームとして前進できた夏でした」

 今回の大金星は、「英数学館甲子園物語」のクライマックスではなく、あくまで序章。指揮官渾身の脚本に記された、笑顔あり、涙ありのストーリーは、まだまだ続く。

(文中敬称略)

おわり

【著者プロフィール】井上幸太(いのうえ・こうた)

1991年生まれ。在住の島根県を中心に中国地方のアマチュア野球を取材するライター。『報知高校野球』、『野球太郎』などの雑誌、『web Sportiva』、『山陰中央新報デジタル』などのウェブ媒体に寄稿中。グラブなどの野球道具への偏愛を持ち、全国のスポーツ店を巡ることをライフワークとしている。

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