2022.06.24

大学野球選手権で評価が上昇、ドラフト上位候補の投手3人。敵将も「絶対打てない」直球に脱帽

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

大学野球選手権で躍動したドラフト候補〜投手編

 6月6日から12日まで熱戦が繰り広げられた第71回全日本大学野球選手権大会(大学選手権)。さまざまな有望選手が登場するなか、とくに鮮烈な印象を残した有力投手3名を紹介しよう。

初戦で敗れたが、大商大相手に好投した富士大の金村尚真初戦で敗れたが、大商大相手に好投した富士大の金村尚真 この記事に関連する写真を見る

敵将も脱帽した速球のキレ

金村尚真(富士大/176センチ82キロ/右投右打/岡山学芸館高)

 よく言えば器用、悪く言うと器用貧乏。それが1年前までの金村尚真という投手の印象だった。コンパクトなテイクバックで再現性の高いフォームから、カットボールなど多彩な変化球を駆使して抑え込む投球スタイル。大学3年春の北東北大学リーグでは、7戦7勝、防御率0.16という超人的な成績を残している。

 その一方で、大学生の打者が相手でも圧倒できるようなストレートの球威はなかった。球速は140キロ台後半をマークしていても、打者のバットを押し込むような強さは感じなかったのだ。

 ところが、大学最終学年に入って金村は今までとは違った顔を見せる。初戦に組まれた大阪商業大との好カードで、金村のストレートは序盤からうなりを上げた。

 常時145キロ前後の球速表示以上に勢いを感じさせるストレートは、ファウルだけでなく空振りを奪えるようになっていた。金村は試合後、冬場にストレートの改良に取り組んだことを明かしている。

「ストレートで空振りをとれていなかったので、この冬はキレを追い求めました。リリースポイントが後ろだったのを、前で離してトップスピンのかかるストレートにしようと。遠投から見直してきました」

 対する大阪商業大の富山陽一監督は、金村のボールに脱帽した。

「絶対に打てないと思いました。スピンが効いてベース板で強かったので。真っすぐで押されたらしんどいなと。スピードガン(の数字)以上に速く見えましたから」

 ストレートが進化したことで、スライダー、カットボール、スプリットなどの変化球がより生きるようにもなった。もはや「器用貧乏」の印象は消え、「総合力の高い投手」という印象が強まった。

 試合は延長10回タイブレークの末に1対2で敗戦。初戦敗退で終わったものの、金村がドラフト上位クラスの実力者だとアピールするには十分な内容だった。