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異例づくしの大学野球選手権。ドラフト戦線をにぎわす「左投手」と「右の強打者」に注目 (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 黒原拓未(関西学院大)は入学直後から能力の高さを見せていたものの、突き抜けた成績をあげられずにいた。だが、今春は関西学生リーグで5勝1敗、防御率0.70とブレイク。変化球の制球がよくなり、最速151キロの快速球がさらに生きるようになった。

 優勝を決めた5月25日の京都大戦では、1球だけ157キロを計測。スピードガンの誤作動の可能性が高いが、神宮球場ではどんな数字が刻まれるか。初戦は8日の松山大戦だ。

 井奥勘太(天理大)も今春に一気に花開いた左腕。最速145キロと驚くような球速はないものの、打者の手元で伸びてくる好球質で凡打の山を築く。今春の阪神大学リーグでは5勝0敗、ほとんど失点を許さない快投を見せた。昨年までの絶対的エース・森浦大輔(広島)に続けるか。石巻専修大との開幕戦に登場する可能性が高い。

 ほかにも、抜群の安定感を誇る三浦瑞樹(東北福祉大)も要注目。今春の仙台六大学リーグでは20回を投げ、無失点と付け入るスキがなかった。

 右投手では、三浦とチームメイトの椋木蓮(東北福祉大)が楽しみな存在だ。サイドスローに近い角度から最速153キロをマークする。

 その東北福祉大と8日に対戦する共栄大には、小向直樹というドラフト候補右腕がいる。ダイナミックなフォームから角度のついた剛球を投げるが、今春のリーグ戦ではやや状態を落としていた。大舞台で復活を印象づけられるか。

 名門揃いの東京六大学リーグを制した慶應義塾大はエース右腕・森田晃介を擁する。投球に迫力があるわけではないが、勝負所でランナーをホームに還さない粘りの投球ができる。

 今大会は3年生にも注目の投手が多く、左腕なら増居翔太(慶應義塾大)、原田桂吾(国際武道大)。右腕なら加藤泰靖(上武大)、松本凌人(名城大)、金村尚真(富士大)、渡辺翔太、荒木雅玖(ともに九州産業大)、渋谷祐太郎(石巻専修大)らがいる。

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