スカウトがぞっこん!25歳の右腕。
平均球速130キロ台だった投手に何が? (4ページ目)
「あの試合は僕のせいで負けたようなものです。あんなにお客さんが入ったのは初めてだったので、むちゃくちゃ緊張しました。ピッチャーは登板前に緊張して、マウンドに上がればそれがなくなるのですが、その時はブルペンでウキウキしてしまったんです。それで逆にマウンドに行ってから緊張してしまって......」
この試合、チームは先制したものの先発投手が5回に突如として乱れ、塁上にランナーをためた。プレーオフは3戦2勝制で、この試合を落とすと敗退が決まるトゥアタラベンチは高橋を2番手としてマウンドに送った。
しかし、高橋は1アウトを取っただけで4失点を喫し、負け投手となってしまった。
ウインターリーグでの高橋の成績は、5試合にリリーフ登板して0勝1敗、防御率6.48と芳しいものではなかったが、"オンとオフの切り替え"の重要性を異国の地で学んだ。
ワイルドラプターズのクローザーとなった高橋は、ここまで(8月24日現在)17試合に登板し、リーグトップの8セーブを挙げ、防御率1.47と好成績を残している。とくにイニング数を上回る奪三振を記録しており、球威については絶対的な自信を持っている。
福沢もスピードについては太鼓判を押しており、あとはその球をどこまでコントロールできるかだという。
「たとえば、155キロ出たからNPBに行けるというわけじゃなく、150キロを超すボールを操れるようにならないとダメですね。外と内をきっちり投げ分ける。そこまでできないと通用しないという話は高橋にしています。あと、落ちるボールがほしいですね。いま取り組んでいますけど、その完成度が大事ですね」
大卒で独立リーグ4年目、高橋は来年26歳になる。もちろん、その現実については理解している。この秋のドラフトがラストチャンスととらえている。がむしゃらに野球に打ち込む一方で、SNSに自身の投球動画を積極的に載せている。ファンサービスの一環かと思ったが、スカウトへのアピールだという。
「なにがなんでも、この秋NPBに行きます。そのためにできることはなんでもしたいと思っています」
はたして、吉報は届くのか。その時を信じて、高橋は今日もマウンドに上がる。
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