大学野球のドラフト「隠し玉」。
公式戦未勝利、無安打でもすごい男たち

  • 高木遊●文 text by Takagi Yu
  • photo by Takagi Yu

 新型コロナウイルスの感染拡大により、大学野球の春季リーグは一部を除き開催中止が決まり(開催を表明しているのは東京六大学野球、関西学生野球、関西六大学野球のみ)、全日本大学野球選手権も史上初の中止となった。

 昨年まで豊富な実績を残し、実力をいかんなく発揮してきた選手はNPBのスカウトたちもある程度の評価を下しているだろう。だが一方で、昨年まで十分な実績を残せず「最終学年の今年こそは!」と意気込んでいたプロ志望の選手たちにとっては痛恨だったに違いない。

 それでもまだアピールチャンスは残されている。選手層の厚い強豪校に埋もれていた選手、注目度の低い地方リーグで頭角を現してきた選手......。そんな"隠し玉"的存在のドラフト候補を紹介したい。

全国経験はないが、最速151キロを誇る東亜大・中内亮太全国経験はないが、最速151キロを誇る東亜大・中内亮太「すごいですよ。ブレイクすると思います。あいつを見たら、スカウトの方もびっくりするんじゃないですか」

 コロナ禍のさなか、練習している大学が少なかったため、ドラフト候補の近況を知りたく各大学の監督に電話取材したのだが、そのなかで法政大の青木久典監督はとくに熱のこもったトーンで語ってくれた。

 その青木監督が情熱を向けているのが、身長185センチの左打ちの外野手・村田雄大だ。

 小学6年でベイスターズジュニア、世田谷西リトルシニアで全国優勝、横浜高校でも1年秋からレギュラーを獲得し、高校3年の夏は甲子園出場を果たした。

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