2020.06.27

大阪桐蔭の応援団長が「パワプロ」で覚醒⁉
新記録樹立でドラフト候補へ

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 あまりに惜しい、控え選手だった。

 センターを守る背番号15が力強く左腕を振ると、ボールが低い軌道で伸びていく。シートノックとはいえ、このスローイング能力は全国屈指に違いない。少なくともこの選手が登場した春のセンバツで、ここまで鮮烈な送球にはお目にかからなかった。

──大阪桐蔭じゃなかったなら……。

 そう思わずにはいられなかった。せっかくすばらしい能力を持っていても、腕自慢が集まる大阪桐蔭では控えクラスなのだ。

 さらに驚くべきことに、この選手は春のセンバツの大会公式パンフレットに名前すら載っていなかった。大会直前のメンバー変更で甲子園ベンチに滑り込んだのだ。

 私が大阪桐蔭の控えセンターを目撃して、4年の時間が過ぎた。そして、大学に進んだこの選手は今や、ドラフト候補の仲間入りをしている。

昨年秋のリーグ戦で5本塁打を放ち、阪神大学リーグの新記録を樹立した天理大・大石航輝 名前を大石航輝(こうき)という。

「なんか景色がちゃう感じっすね。高校時代は野球以外のことも考えていたんです。将来は指導者になるとか、トレーナーとか整体関係とか、野球関係の仕事じゃなくてもいい就職先につきたいとか。でも、今は野球中心で考えています」

 天理大に進んだ大石は昨年秋のリーグ戦で5本塁打を放ち、阪神大学リーグの新記録を樹立した。その後、12月には愛媛県松山市で開かれた大学日本代表候補強化合宿にも招集されている。