2020.06.26

甲子園中止で語り継がれる「悲劇の世代」。
世代屈指の好投手が進路の悩みを激白

  • 田尻賢誉●文 text by Tajiri Masataka
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 人間にとって、希望がなくなるほどつらく悲しいものはない。中京大中京のエース・高橋宏斗もそれを痛感したひとりだ。

 センバツ中止はショックだった。出場が決定していただけではなく、秋の明治神宮大会優勝校として、甲子園でも日本一を狙っていたからだ。同時に、「世代ナンバーワン投手」の称号を不動のものにする場でもあった。

昨年秋の神宮大会で優勝した中京大中京の高橋宏斗「世の中の情勢を見て、ある程度は(中止を)覚悟していた部分はありました。何らかの形で開催してほしいというのが本音でしたけど......」

 高橋はセンバツ中止が決定した3月11日のことをこう振り返る。そして、こう続けた。

「無観客でも優勝を狙おうと取り組んでいたので、中止が決定したあとは、正直、モチベーションをどう保てばいいのかわかりませんでした。2、3日は高橋(源一郎/監督)先生のミーティングも耳に入らなかったというか、気持ちの部分で切れているというのはありました」

 それでも、まだ夏がある----無理やりにでも前を向く材料はあった。だが、その夏もなくなってしまえば、その先が見えない。5月20日、自宅で聞いた夏の甲子園中止のニュースは、受け入れがたいものだった。

「センバツのショックよりも、そっちのほうが大きかった。センバツが中止になった段階で、目標を夏の甲子園優勝に切り替えていたので......」