コロナ禍で混沌とするドラフト戦線。現地点での上位候補は? (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

昨年秋の神宮大会で優勝した中京大中京のエース・高橋宏斗昨年秋の神宮大会で優勝した中京大中京のエース・高橋宏斗 本来であれば今春以降に急成長を見せ、ドラフトの主役になる人材が現れても不思議ではなかった。今春の選抜高校野球大会には、投手なら中森俊介(明石商)、高橋宏斗(中京大中京)、小林樹斗(智辯和歌山)、川瀬堅斗(大分商)。野手なら西川僚祐(東海大相模)、内山壮真(星稜)、来田涼斗(明石商)、細川凌平(智辯和歌山)といった好素材が出場予定だった。

 また、夏の甲子園という高いレベルで自分の力を試す舞台を失い、大学進学や就職に進路を転換している有望高校生は例年以上に増えているようだ。

 昨秋時点での評価が軸になるなら、今年は大学生がドラフトの主役になるだろう。とくに野手に魅力的な選手が数多くいる。

 底知れないスケールを感じさせるのは、佐藤輝明(近畿大)だ。身長187センチ、体重92キロの体から悠然と構え、バットを天に突き上げるようなスイングには夢がある。足が速く、肩も強いため大学の大先輩である糸井嘉男(阪神)と重ねる報道も目につく。

 だが、佐藤の場合はハイレベルな走攻守のなかで打撃の豪快さが突き抜けた個性になっている。昨年時点で「間違いなくドラフト1位で指名される選手になるでしょう」(日本ハム・大渕隆スカウト部長)という評価もあった。

 とはいえ、昨年時点で本人も「ホームランはもうちょっと打ちたかった」と語ったように、3年間を終えてリーグ戦通算本塁打は11本。関西学生リーグでは群を抜いているものの、やや物足りない数字に映る。最終学年での大爆発を期待したいところだったが、機会は限られそうだ。

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