コロナ禍で混沌とするドラフト戦線。現地点での上位候補は? (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 中央大の五十幡亮汰と牧秀悟も能力は高い。五十幡は中学時代の100メートル走、200メートル走の全国チャンピオンでサニブラウン・ハキームに直接対決で勝っている面ばかり取り沙汰されている。だが、スローイングの強さも天下一品で、打撃もバットを短く握るスタイルながら強くコンタクトできる。「肩の強い赤星憲広(元阪神)」というイメージだ。

 一方の牧は五十幡に比べると地味に映るが、確実性の高い右の中距離打者で打撃技術は高い。厚みのある肉体もあり、宮﨑敏郎(DeNA)のような成功イメージが浮かぶ。

 春先のオープン戦では五十幡、牧ともにスカウト陣の前で状態の高さをアピールしており、1位指名の可能性もあるだろう。

 ほかにも、捕手としても野手としてもポテンシャルの高さを感じさせる古川裕大(上武大)もドラフト上位戦線に浮上しても不思議ではない。バネを感じさせる動きと身体能力の高さはプロ向きだろう。

 大学生投手は右ヒジを痛めて長期離脱中の山﨑伊織(東海大)のように、体調万全ではないドラフト候補が散見される。それでも1位候補に挙がってきそうなのは伊藤大海(苫小牧駒澤大)、早川隆久(早稲田大)、木澤尚文(慶應義塾大)だ。

 伊藤は駒澤大を1年途中で中退して北海道の苫小牧駒澤大に再入学したため、今年で23歳になる。だが、150キロをコンスタントに超えるストレートは、1球見ただけでプロレベルと感じさせる威力がある。2年時から大学日本代表でキャリアを積んでおり、恵まれているとは言えない環境から自力で大学屈指の能力まで高めた点も評価される材料だろう。

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