佐々木朗希級のビッグサイズ左腕。創成館の怪物候補は天性の才を持つ (3ページ目)

  • 加来慶祐●文 text by Kaku Keisuke
  • photo by Kaku Keisuke

 小学校1年で野球を始めて以来、鴨打は投手一筋で育った。ちなみに、父の武士さんは1989年に龍谷(佐賀)の控え投手としてセンバツに出場。兄の翔太さんも柳ヶ浦(大分)でエースナンバーを背負い、日本経済大でもプレーしている。「父が兄に指導している横で、盗み聞きしながら勉強していた」と言う鴨打は、地道な成長を続け、勧誘を受けた数多くのなかから長崎の創成館への進学を決めた。

「毎年強いし、(2017年秋の明治神宮大会で)大阪桐蔭を倒したという実績が大きなポイントでした。自分も大阪桐蔭を倒してみたい。それに、その時のエースで自分と同じ左投手の川原さんの存在も決め手のひとつになりました。甲子園で活躍して、プロまで行ったことがすごく魅力的でした」

 そして、もうひとつ大きな決め手となったのは、同じ2月29日生まれの稙田監督から「俺たちは4年に一度しか歳を取らない。2020年の東京五輪イヤーに、俺は14歳、お前は4歳になる。せっかくだから一緒に歳を取ろうや」という粋な誘い文句だった。

 長崎に現れた"怪物候補"は「直球で三振が取れるようになれば......」と言って、アイシングしていた左肩をぐるぐると回した。覚醒の夏が待ちきれない様子である。

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