韓国、中国から続々来日。日本の
独立リーグがアジアの野球少年を救う (4ページ目)
トライアウトに合格し、昨シーズンから武蔵HBの一員となったが、独立リーグとはいえ、レベルの高さに驚かされた。なにより、子どもの頃に熱中したWBCで日本の主力として活躍していた村田修一と同じフィールドにいることが夢のように感じられた。
しかし、言葉もわからないままの来日で、周囲は年上の選手ばかりとあって、昨シーズンは環境に慣れるのに精一杯だった。
「埼玉ではあまり韓国人に会うことはありませんね。食事は日本人選手と一緒でしたが、あまり苦になりませんでしたし、キムチがほしいと思ったこともないです。たまにスーパーで(キムチを)買うのですが、やっぱり味は少し違いますね(笑)」
アパートでのひとり暮らしで苦労も多かったが、おかげで日本語は問題なく話せるようになった。
BCリーグには金以外にも多くの韓国人選手が在籍しているが、彼らは兵役でKBOを離れざるを得なかった選手たちで、経験も豊富。それぞれのチームで"助っ人"的な存在として活躍している。ここでも金は最年少で、対戦相手に"先輩"がいれば、あいさつを欠かさない。
「学校のように上下関係が厳しいわけではなく、みなさん親切にしてくれます。この間も、KBOの一軍で活躍していた福島レッドホープスの金源石(キム・ウォンソク)さんがBCリーグの投手について、『コントロールは少し落ちるけど、球の威力はKBOと変わらない』と教えてくれました」
金は忠清南道の古都・公州出身。地元チームのハンファ・イーグルスのファンだと言うが、目標としているのはNCダイノスのスラッガー・羅成範(ナ・ソンボム)だ。自身と同じ左投左打の外野手であり、羅のようなパワーヒッターになりたいと語る。
「だから、僕の背番号も47なんです。羅成範さんと一緒」
昨年、埼玉まで足を運んでくれた両親は、今年も来てくれる予定だと言う。今はまだ控えの外野手という立場で出番もなかなか回ってこないが、両親の前で晴れ姿を見せられるよう、日々研鑽(けんさん)を積んでいる。
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