琉球の奪三振王は及川雅貴より評価が上。ドラフト上位候補に名乗り (2ページ目)

  • 加来慶祐●文 text by Kaku Keisuke
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 最終回は3番から始まる相手の攻撃を3者連続三振に切って取った。とくに最後の打者となった江原佑哉を仕留めたチェンジアップは、まるで楽天の守護神・松井裕樹を見ているようだった。

 続く大分との準決勝では、またしても1点ビハインドの6回に登板すると、残りのイニングを1安打、9奪三振相手の攻撃を完璧に封じ込め、終盤の逆転勝利につなげた。

 前の試合で2本塁打を放っている大分の4番・中尾拓士は、宮城のピッチングについて次のように語る。

(スライダーが)イメージ以上でした。顔面付近に来たと思ったボールがアウトローに突き刺さってくる。恐怖心すら感じました」

 5番打者の飯塚和茂も続く。

「自分の時はさほど全力ではなかったと思います。それでも今までに経験したことないような打席近くで高速に曲がるスライダーが来て、バットに当てることもできませんでした」

 ただ、西日本短大付(福岡)との決勝では先発したが、我喜屋監督が「久しぶりに頭から行った(先発した)ので、ちょっと力みがあった」と言ったように、序盤から制球に苦しみ9回を投げて5失点。

 それでも「リリース位置をスリークォーターからむしろサイドに近い感覚まで下げた」(宮城)ことで立て直し、5回以降は1安打に抑えてみせた。敗れはしたが、14奪三振と才能の片鱗は十分に見せつけた。

 この試合を観戦していたDeNAの稲嶺茂夫スカウトは、次のように語る。

「同じ高校生左腕として横浜高校の及川雅貴くんが注目されていますが、変化球のコントロールやストレートの精度を比較すれば、現状では宮城くんの方が上かもしれません。もちろん、タイプはまったく真逆なのでスカウトの意見も分かれるとは思いますが......」

 横浜に拠点を置く球団のスカウトとして、もちろん及川のことは把握している。一方で、担当地区である沖縄を代表する左腕の実力を知り尽くしている人物が「現状で及川よりも上」と言うのだから、宮城の力がいかに突出しているかがわかる。その稲嶺スカウトが続ける。

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