2019.05.03

琉球の奪三振王は及川雅貴より評価が上。
ドラフト上位候補に名乗り

  • 加来慶祐●文 text by Kaku Keisuke
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 一塁側のカメラ席からファインダー越しに見る興南(沖縄)の左腕エース・宮城大弥(ひろや)の投球フォームには、正直、それほどの迫力を感じない。むしろ「本気で投げているのかな?」と思うほどだ。しかし、レンズを打者に向けると、ベース上を通過するボールのスピードと威力に圧倒されてしまう。

 インステップから放たれるボールの角度、そして十分に体重が乗った最速149キロのストレート。春の九州大会で見せつけた宮城の圧倒的なパフォーマンスを、ただ”圧巻”のひと言で片づけてしまうのはもったいない。だが、ほかに適切な表現が見当たらないもの事実。まさに「言葉にならない」投球だった。

昨年夏の甲子園でも活躍した興南の宮城大弥 神村学園(鹿児島)との初戦は完投し、133球を投げて6安打、4失点に抑えた。本人も決して納得のいく内容ではなかったが、自己最速を更新しながら代名詞の奪三振も2ケタの10個を記録。

「高校日本代表候補合宿を経験したことで速い球を求めすぎている。力みすぎだよ」と興南の我喜屋優監督は手厳しかったが、次戦の昨年秋に敗れた筑陽学園(福岡)との試合での宮城は、まさに無双だった。

「一度負けている相手だったし、あの負けで(センバツ)甲子園を逃している。冬の間も筑陽学園戦のことは、ずっと頭の片隅にありました」(宮城)

 この試合、「4番・センター」でスタートした宮城だったが、先発左腕の又吉航瑶(こうよう)が0-1と1点ビハインドの6回に無死三塁のピンチを招き、2番の弥富紘介を1ボール2ストライクと追い込んだところで宮城がマウンドに上がった。我喜屋監督がこの場面を振り返る。

「2点目を取られてしまうとまずい。もう1点も許されない場面。宮城で三振を取りにいくしかなかった」

 宮は2つのボールを挟んだあと、外へ鋭く逃げていくスライダーで空振り三振。続く3番の福島悠介もストレートで三振に仕留めると、4番・福岡大真は力で押してレフトフライ。絶体絶命のピンチを圧倒的なピッチングで切り抜けると、4イニングを被安打0、奪三振8の好投でチームの逆転勝利を呼び込んだ。