「限りある野球人生に後押しを」松坂愛用のグラブに込められる思い (3ページ目)

  • 井上幸太●文 text by Inoue Kota
  • photo by Kyodo News

 この"夢"とは、「RYUを日本一のグラブメーカーにする」ことだ。五十住は言う。

「RYUは、今後もっと伸びてくるブランドだと思っています。ありがたいことにウチで販売させてもらっているので、お客さんとのやりとりのなかで感じたこと、いただいた要望を還元して、『どうやったら成長できるか』を二人三脚で考えていきたい」

 そんな五十住の思いを受け、グラブ職人の河合が続ける。

「流行を追いかけるのではなく、『RYUならでは』の世界観を構築し、流行を生み出す存在、野球グラブ界をリードする存在になっていきたい。最終的には、野球に携わっていない方にも知っていただけるようなブランドを作り上げたいです」

 ブランドが掲げる「RYUを纏え。」というキャッチコピー。このコピーに続く文章のなかに、「それは単なる野球道具ではなく、きっとプレイヤーの宝物になるから――」という一文がある。五十住が補足する。

「硬式用のグラブの耐久性を考えると、『一生使う』ことは不可能ではないんです。使っていくうちに、ボールを捕球する部分が擦れて破れることもありますが、縫って補修することもできる。革紐や芯(親指、小指部分にあるグラブの骨格の役割を果たすパーツ)を交換すれば、固さも取り戻せる。修繕していけば、学生野球をともに戦ったグラブで野球を楽しみ続けることだってできます。たくさんの思い出が詰まった"宝物"になるように、『一生使いたい』と思ってもらえるようなグラブを届けたい」

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