「今日もアカン」で橋戸賞。走攻守+強気なドラフト候補はモノが違う
次の即戦力は誰か――。
社会人出身の野手がプロで活躍している。2017年は源田壮亮(トヨタ自動車→西武)、そして2018年は藤岡裕大(トヨタ自動車→ロッテ)。アマチュア最高峰でも結果を残してきただけあって、高い能力と順応性でプロの世界でも即戦力になっている。
今年、その流れに乗ってプロ入りし、即戦力になる可能性を秘めたドラフト候補がいる。その選手の名前は近本光司(ちかもと・こうじ)。関西学院大から大阪ガスに入社して2年目、今年で24歳になる外野手である。今夏の都市対抗野球大会では、MVPに該当する橋戸賞を受賞している。
都市対抗で橋戸賞に輝いた大阪ガスの近本光司 身長170センチ、体重70キロの小さな体。都市対抗でも5試合で4盗塁を決めたように、スピードのある選手だ。だが、近本の特長はなんといってもバットを強く振りこなせるところにある。大阪ガスの橋口博一監督は言う。
「近本はパンチ力がありますから、めちゃくちゃ飛ばしますよ。公式戦のJABA岡山大会(4月)では5試合で3本のホームランを打ちました。都市対抗でも人工芝に高く跳ねる打球がありましたけど、よう跳ねるでしょう? 普通はあんなに跳ねません。体に力があるから、高く跳ねるんでしょう」
都市対抗では5試合に出場して21打数11安打1本塁打5打点。打率.524で大会の首位打者も受賞している。恐るべきは、これだけの数字を残しながら、本人は「調子が悪い」と感じていたことだ。
「バッティング練習をしているときから全然ダメで、『今日もアカンな、ヤバイな......』と思ってばかりでした。(前後の打順の)土井(翔平)さんや上西(主起/日本生命からの補強選手)さんには『今日はお願いします』と頼み込んでいましたから」
本来は力強くボールにコンタクトできるのが近本の持ち味だが、今大会では状態が悪く叩きつけるような打球、ボールに合わせる打球が増えていた。それでも「試合が始まれば打てる気しかしない」という強気の姿勢が結果に結びついた。
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