あのプロ野球「盗塁王」が、給料ゼロで米独立リーグコーチになる事情 (5ページ目)
そう熱く語る大野の表情は、しばらく離れていた現場に戻れる喜びに満ちていた。この独立リーグでの指導経験を足がかりに、プロレベルの選手の移籍に関わるだけでなく、日本からアマチュアの選手を世界に送り出すことも考えている。
「僕が大学を卒業した頃は、プロでなくても行き先はいくらでもあったんですよ。だからレギュラーでなくても社会人に行って、野球ができました。でも、今はないでしょ。僕の感覚では、25、26歳になれば地に足をつけなくてはいけないと思うので、その歳で独立リーグ挑戦というのもどうかなというのがあるんですが、今は30歳ぐらいまでは自分の可能性を求めるのもアリかなと......。とはいえ、引退後の人生の方が長いので、若い人には野球だけでなく、いろんな経験をしてほしい。その橋渡し役もしたいと考えています」
アメリカでは初めての指導となるが、英語でのコミュニケーションについては「いやぁ、オーストラリアとアメリカの英語はずいぶんと違うらしいですから......」と言うが、指導の際、大きなアドバンテージになることは間違いない。
カンナム・リーグは5月18日に開幕したが、ビザの関係で大野の活動はアメリカ国内のみ。地元でのコーチデビューは25日になる。かつてNPBで盗塁王を獲った男の走塁技術はチームにどこまで浸透するのか楽しみだ。
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