あのプロ野球「盗塁王」が、給料ゼロで米独立リーグコーチになる事情 (4ページ目)
そんなことを考えていた矢先、大きな転機が訪れた。2年前に日本で開催されたアメリカ独立リーグのトライアウトの際に知り合ったエージェントの吉田大祐との再会が、大野を突き動かした。
吉田はカンナム・リーグのニュージャージー・ジャッカルズでコーチ業もしており、自分もそこでコーチ修行をしたいと頼み込んだのだ。
吉田の口利きもあり、球団からOKは出たが、その条件というのが、ギャラなし、渡航費は自前、住居は球団と交渉中で、うまくいけばホテル、そうでない場合はホームステイ、それもダメならエージェントの自宅に居候という過酷なものだった。
それでも大野はこの条件で受けた。「次へのステップのためだから気にならない」と大野は笑う。むしろ世話をしてくれたエージェントと受け入れてくれた球団に感謝していると言う。
「まだ実際に見ていませんし、聞いた話だけで、ほとんど想像ですが、カンナム・リーグは独立リーグのなかでも可能性のある人たちが多くいるリーグだと思います。エージェントの話によると、あと走塁の技術が身についたらメジャーの可能性もある選手がいるとのことです。
そういう選手が、もし3Aやメジャー、さらには日本に助っ人として来たときに『誰に教わったんだ?』ってなるでしょ。そのときに僕の名前が出てくれば嬉しいですよね。それに、日本の12球団ともコネクションがあるので、橋渡し役もできるんじゃないかなと......。とにかくアメリカに行って、『あの日本人コーチ面白いね』となれば最高ですよね」
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