2018.05.21

マギーが「一生の宝物」という腕時計。
今も忘れ得ぬ闘将との熱い日々

  • ブラッド・レフトン●文 text by Brad Lefton
  • 市川光治(光スタジオ)●写真 photo by Ichikawa Mitsuharu(Hikaru Studio)

 アメリカ・テネシー州にあるケーシー・マギーの家の寝室には、妻と婚約したときの写真があり、そのとなりに1本の豪華な腕時計が飾られている。マギーはブランド品に興味がなく、普段はTシャツ、ジーンズ姿で過ごすことがほとんどだ。だから、この時計をもらったとき、マギーはどこのブランドなのかもわからなかった。

 しかしこの時計は、金額はもとより、マギーにとって忘れることのできない"一生の宝物"なのである。

 文字盤には日本国旗の日の丸を思わせる赤い石の装飾が施されており、その下に「77」と記され、裏面にはマギーの名前が彫られている。その時計を見るたび、マギーはあの激闘を思い出すのだった。

昨シーズン、4年ぶりに日本球界に復帰したマギー マギーが"一生の宝物"というこの時計は、2013年に巨人との日本シリーズを制し、球団創設初の日本一になったあと、当時背番号77を着けていた星野仙一監督(故人)から贈られたものだ。

「本当に感動しました。日本シリーズが始まる前、なんとしても星野監督を日本一にしようとAJ(アンドリュー・ジョーンズ)としていました。その思いが、日本シリーズを戦うモチベーションになりました。おそらく我々の思いは星野監督に届いていたと思います。私にとっても初めての優勝でしたが、それ以上に星野監督を日本一にさせることができて、本当に幸せでした」

 その時計は日本一になったことだけではなく、もうひとつの思い出があるとマギーは言う。

「自分のキャリアのなかで、こんなに選手と監督との信頼関係が素晴らしい1年ありませんでした。星野監督は我々を受け入れてくれて、ただの助っ人じゃなくて本当の意味で楽天の一員として戦うことができた。私にとって、それは何よりも嬉しいことであり、意味のあることでした」

 ただ、時計を受け取ってから長い間、マギーは星野監督と会う機会がなかった。なぜなら、2013年の活躍が評価され、その翌年、再びメジャーに戻ることになったからだ。